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由佳が四階に辿り着いた時は既に、二時間目の授業も半ばに差し掛かっていた。
――二時間目は・・日本史だ。
光に対するイライラも収まり、日本史のことを考え始めた由佳。
一番奥にあるA組の教室へ向かおうとした所、教室から出て来た者が二人いた。
それは、七海と谷だった。
由佳は驚きながら二人を見て、足を速めた。
遠くから見ても、七海の具合が悪そうに見えたのだ。
「どうしたんだ、麻生」
授業を中断させた谷は、具合悪そうにうずくまる七海に声をかけた。
だが、七海は苦しそうに息をするだけで、返答しなかった。
「おい、立てるか?」
谷は困惑の表情を浮かべながらしゃがみ込み、七海の顔色を伺った。
「熱はなさそうだが・・・苦しいんだな?過呼吸か?それとも・・・っ!」
七海の額に触れ、熱がないことを確認した谷。
立てない程苦しいなら、抱えて保健室へ持っていこうかと考えていた所だったのだが。
突然腹部に衝撃を感じた。
ドスッと何かで殴られたような感覚を覚え、その部分を見てみると、小さなナイフが突き刺さっていた。
「麻生っ・・・?」
突然すぎる攻撃に、谷は訝しげな表情で七海を見た。
すると七海は、氷のように冷たい瞳を携え、こう呟いた。
「私を子供扱いしたからよ・・・」
七海は冷たい声を出し、突き刺したナイフを勢いよく引き抜いた。
その瞬間、腹部から鮮血がはじけ飛ぶ。
七海の顔や制服に、白く塗られた壁に、廊下に飛び散る赤黒い液体。
それを間近で見ていた由佳は思わず叫んだ。
「いやぁーーーーーー!!」
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