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「早く帰れよ」
本当は、帰ってほしくない。
いや、古泉は、帰るべきなんだ。
「俺を相手にするより、あの子を相手にした方が気分的にも楽だろ…」
ぎゅっと腕に爪を立て、言いたいことは言おうと、さらに口を開こうとし、
「バカですか」
古泉から、聞いたこともかけられたこともない台詞を吐かれ、気づくと俺は、古泉に後ろから抱きしめられていた。
言葉とは裏腹に、優しく、包むように。
「あなたはバカだ」
「な、」
「あの子よりも、あなたの方が大切だから、僕はここにいるんです」
俺は、背中に感じる温もりと、吐かれた言葉に、すうっと心が軽くなった気がした。
「…そうか」
吐かれた台詞に、喜ぶ自分と、悲しむ自分。
素直に嬉しいと感じる俺。
俺は、ハルヒを神と仮定した際の、鍵的存在だから、優先されると考える俺。
…いや、どっちでもいいや。
今だけ、今だけでいいから。
このままで、いさせて。
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