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目、閉じろって言ったのに、古泉はひどく驚いたのか、その瞳を揺らし、困惑した視線を俺に向ける。
俺は、それを無視するように、目を閉じ、重ねただけの唇を、そっと離した。
「…いきなり、何するんですか?」
「お前が悲しそうだったからだよ」
足りないのか?と問うと、古泉はとんでもないと首を振り、次いでにぱっと子供のように笑うと、俺の頬に口づけを落とした。
「嬉しかったです」
「…そうか」
「お返しに、今日僕の家にきませんか?」
お返しって言うか、それお前がやりたいだけじゃん…
「いい」
「そうですか…」
「お返しなら、もらってるから」
「?」
不思議そうに俺を見つめる古泉の顔に、ふっと笑みをこぼし、俺は部室に戻る。
「俺は、古泉の笑顔さえ見れればよかったんだよ」
それを、古泉からのお返しにしてもいいくらいにな。
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(´・ω・`)
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