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ミノルが楽器ROOMの中で1人、壊れたメトロノームを“壊れ物BOX”の中に入れ、そのそばに貼られた物品表に
メトロノーム×1と書き加えた。
そして楽器収納棚の一番上から新品のメトロノームを出した。
一応念のため不良品ではないか確かめた。
カツッ…カツッ…カツッ…カツッ…
少しも狂いもなく正常にテンポを伝えていた。
ミノルはしばらくそのテンポにあわせて目をつぶってハミングでメロディを刻んだ。
「うん!バッチリ!!」
そしてそれをメトロノーム専用の小さな棚に入れた。
ミノルは大きく伸びをして、首を回したり、体をねじったり、肩を回したりした。
そこに、
「ミノルっ!!!」
勢いよくドアを開けて、ケイタが現れた。
「わっ!!?
ケイタかぁ…ビックリしたぁ…
どうしたの?またスティック折れた?
じゃあ脇の箱の中に新品が…」
「ちがうよっ!!」
しばらく沈黙が続いた。
「……えっと…
じゃあ…どうしたの…?」
ミノルは頭を掻いた。
ケイタはミノルに近づき、ミノルの肩をガシッと掴んだ。
「バンド!!!
組まないか!!?」
どうゆうことか把握するのに時間がかかった。
そして、ミノルの中の時間は止まった。
深い海の中に投げ込まれたような感覚に陥った。
「僕は…担当は何…?
楽器は出来ないんだけど…」
「“ボーカル”!!
決まってんだろが!」
“ボーカル”
それを聞いた瞬間、ミノルの中のメトロノームが徐々にテンポを上げていった。
「えぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!???????」
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