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「ほら、麻里乃起きーや!」
「んー、あともうちょいだけ寝かせてや……」
なかなかベッドから出ようとしない彼女こと、麻里乃。
僕、永輝はため息をつくと、麻里乃のかぶっていた布団を無理矢理剥いだ。
「起きろって言うてるやろ!」
「うわっ、こら!」
布団を剥ぐと、当たり前だけど麻里乃の寝間着姿が僕の目に飛び込んできた。
無防備な麻里乃の姿にドキドキしながら、僕は気にも止めないように振る舞った。
「ほら起きって」
「さ、寒っ!」
僕が剥いだ布団を返せと言わんばかりに、麻里乃は僕を睨み付けてきた。
「睨んでもあかんよ。
ほら早く起きなよ」
「イヤや」
不機嫌そうに顔をしかめる麻里乃にため息をつくと、僕は何とか説得しようと口を開いた。
「……麻里乃、今日何の日か分かってるん?」
「…………」
「麻里乃!」
「っ、イヤ言うてるやろ!
うちはアイツの四十九日なんか行きたくない!」
――――そう。
今日は兄貴の四十九日。
つまり、麻里乃の彼氏だった男の四十九日や。
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