自責の念

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麻里乃の髪の毛からふわりと甘い匂いがする。 この栗色の髪の毛は兄貴が何気なく言った一言からやった。 シャンプーが甘い匂いのにしたんも、兄貴が甘い匂いが好きやったから。 髪の毛を切らんのは兄貴が麻里乃の長い髪の毛を触ることが好きやったから。 麻里乃のいたるところに、兄貴が好きなとこがある。 …………悔しい。 悔しいけど、僕はそんな麻里乃が好きやった。 兄貴のために一生懸命になれる麻里乃が好きやったんや。 「……永輝」 小さな、小さな声で麻里乃が僕を呼んだ。 「うちはやっぱり行かれへんよ」 静かに。 だけど、はっきりと麻里乃はそう告げた。  
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