11人が本棚に入れています
本棚に追加
「……何でなん」
微かに震えてる麻里乃の肩。
……泣いてるん?
「翔璃を拒否してないって言えば嘘になる。せやけど、うちはまだアイツに会ったあかん気がすんねん……」
小さく、けどはっきりとした声で麻里乃はそう言った。
時々聞こえる嗚咽に、僕は何も言えんかった。
ただ、麻里乃を解放して一言だけ言った。
「また……、明日」
「……ん」
長らくの間の後、麻里乃はそう小さく返事をしてくれた。
それを聞いた僕は静かに麻里乃の家を後にした。
「アホ麻里乃……
兄貴のこと、忘れてとは言わへん。せやから僕のことも見てや……」
麻里乃の部屋を見上げ、そう呟くと今度は本当に帰路についた。
最初のコメントを投稿しよう!