146人が本棚に入れています
本棚に追加
一緒に帰る。了承はしたもののこんなに精神的重圧が半端ないもんだとは思わなかった。
初っ端からだった。
校門を潜る手前から。
彼女は俺を見つめ倒す勢いで凝視した。頬を若干赤らめ、肩をもじもじ。
「…………」
「ねぇ」
「……ん?」
「ねぇでわかってよ」
わー。
この子だから、似合うから許せるけど……ギリだな。もしあいつとかに言われたらとりあえずビンタしてから怯んだところを肩に肘を落としたくなるくらいの、拒絶的なかわいらしさだった。
俺がテンパっていると、彼女は恥ずかしそうに視線を伏せた。微かな声で「もう」と呟いて、片手を差し出した。
「……」
つーか、手ぇ繋いでほしかったんかい。誰が気付くねんそれ。え?普通って気付くの?黙れ。普通って何。
テンパり続ける(ていうかもう怯えている)俺を見かね、とうとう言葉にして攻めてくる。
「手……繋いで」
痛恨の一撃でメダパニ状態の俺はラリホーな感じで手を繋いだ。バシルーラされたい気分だ。
「うれしい」
「…………そう、よかった」
「緊張してる?」
「…………ちょっとね」
「やっぱり?えへへ。見かけによらずシャイなんだねー。かーあい」
へへ。君には負けるよー。可愛すぎて(俺の指を君の)目に入れても(俺の心は)痛くないよ。
なんか……予想と違うなぁ。
もっとシャイで繊細な子だと思ってたけど……積極的っつーかガンガンいこうぜっつーか……俺が手玉に取られてるみたいな。
……友達が言ってた言葉を思い出す。「その子はやめとけ」うん、今になって痛感。そもそもやっぱり彼女なんかいらないし、俺に向いてないし。
でもやっぱなぁ……涙は女の最大の武器だし……あ、だからみんなやめとけって言ってたのか。納得。生まれたまんまの姿のピュアボーイ(俺)がザク(彼女)に突っ込むみたいなもんかな。自分でもよくわかんないけど。
「でもさぁ、××くんって誰とも付き合ったことなかったってほんと?」
「あー、ほんとだけど」
「えー、なんでー?私の周りにもかっこいーって言ってる子いたよ?告白とか、されたことなかったの?」
「超あったよ。でも俺って一人しかいないじゃん?一人の為の俺になったら悲しむ人がたくさんいるからさ」
「……」
「……」
「ヘェ」
あれ?
すべったかな?
おかしいなぁ。あいつだったら「馬鹿」だの「死ね」だの「なむあみだぶつ」だのツッコミをくれるのに。
うーん、なんかなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!