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少年はベッドの上で目を覚ました。目にはうっすらと見慣れた机やクローゼットが入ってきた。ここはこの少年の部屋なのだ。
少年は仰向けになったままさきほどまでの出来事を思い出していた。
(夢……?…そりゃそっか。あんな変なのが現実にいるワケないし…)
しかし、少年はこの答えを肯定
しきれずにいた。
街の情景があまりにも現実的で、周りにいた人達の声も鮮明だったからだ。
そしてそれは少年が夢うつつな状態の時に起こった。
―ガタッ!
その小さな物音に少年は身体を跳ねさせた。
(何かいる…!?)
反射的に"誰か"ではなく"何か"と思ったのはその夢のせいなのであろう。
直後、少年の数センチ前方で黒い影が動いた。
窓の外は暗い。まだ日付が変わって間もない時間なのだ。
少年は恐怖を感じ、明かりをつけることができない。
できたことと言えば、ベッドの上に立ち、布団にくるまるくらいだった。
幸運なことにベッドは壁にくっついていたので、背中を壁に預けることができた。
その体勢のまま数分がすぎた。
少年は少しその体勢をくずして安堵の息をもらした。
そしてそのまま横になり、眠りについた。
「…ヴヴヴウゥゥ…ッ」
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