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家を出てから間も無くして当たる交差点にて、慧ちゃんは足を止める。
「じゃあ、2人とも気を付けて行ってらっしゃい。」
私と蒼を後にし、慧ちゃんは駅の方角へと歩いて行った。「うん。慧ちゃんも気を付けてねー。」
私は笑顔で歩きながらも軽く手を振った。
蒼は…相変わらず、慧ちゃんに挨拶もなくスタスタと先に歩いてる。
私は足早な蒼の少し後ろを歩いた。
なぁんにも変らない。
依然とした日常風景。
でも今日は私にとって重要な日って事は、慧ちゃんも蒼も知らない。
今付き合ってる彼氏と丁度一年。
そう、今日はその記念日。
おソロのアクセが欲しいって言ったら、雑貨屋に行こうって言ってくれた。
それから、美味しいアイス屋さんが…
「何ニヤけてんの?キモ」
信号待ちしてる蒼に私の妄想はぶち壊された。
「うるさい。」
私も無愛想に返答する。
彼氏の事、蒼が知ってるかどうかは…よく分からない。
私も蒼に彼女が居るかどうかなんて知らない。慧ちゃんなら分かるけど、蒼に彼女なんて柄にもない。
でも何だか、上手く蒼の顔を見れない。
夢のせい。
きっと。
でも2人とも私の部屋まで来たワケで夢にしては実感があり過ぎたワケでつまり仮に誰かが寝てる私にキスをしたとしたならほらやっぱり人間て態度に出るでしょ普通よく思い返してみよう案外慧ちゃんみたいな人って誰も見て無い所では大胆な行動キャーーーッダメだめだめぇだって新社会人だし大事な時期にそれはダメぇじゃあ蒼がキスもしかしたら女に餓えてキスってどんなんだろみたいな好奇心から寝てる私の唇を奪ったギャアアアダメだめだめぇっ無理でもだから蒼のムカつく態度はもしやツンデレなのか否待て待てよどっちにせよ私は彼氏しか見えてないししかも蒼なんかと比較対象にならない位彼氏の方がカッコイイんだからでもまさかあの夢蒼とのキスだったら
「ギャーーーっっ!!無理無理!」
はっ!と横向くと蒼がキョトンとした顔で私を見て居た。
「オマエ…頭マヂヤベーな。」
蒼はそう言い捨てて横断歩道を小走りで渡って行った。
クスクスと聞こえる。
私も歩き出した。悔し紛れにガン飛ばしながら堂々と。
その時、ポケットの奥の振動に気付く。
ケータイが鳴ってる。
メールだ。
゙ごめん 別れよう。゙
横断歩道のど真ん中。
足がすくんだ。
「……記念日だからって冗談キツいょ…」
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