26人が本棚に入れています
本棚に追加
薫が私の肩あたりバシバシ叩くと大量の埃が舞った。
見ると、確かに私は埃まみれだった。
「まったくなにやってたんですか」
「わかんない」
「わかんないことないでしょう。もういいですよ、早く帰りましょう。――もう、先輩てたまにこういうことがあるんですよね」
薫は大方の埃を落とし終えると、もう八時ですよ、と言って出口に向かっていた。
曖昧な返事をして後に続いた。
妙なこともあるものだ。
前々から妙な図書館だとは思っていたが、本当に妙だ。
空へと抜けた天井を思い出し、私をミルハウザ夫人と言った男を思い出す。さらにあの蒼いドレスを思い出して血が勢い良くめぐり、今にも飛び上がりそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!