図書館の夜

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薫が私の肩あたりバシバシ叩くと大量の埃が舞った。 見ると、確かに私は埃まみれだった。 「まったくなにやってたんですか」 「わかんない」 「わかんないことないでしょう。もういいですよ、早く帰りましょう。――もう、先輩てたまにこういうことがあるんですよね」 薫は大方の埃を落とし終えると、もう八時ですよ、と言って出口に向かっていた。 曖昧な返事をして後に続いた。 妙なこともあるものだ。 前々から妙な図書館だとは思っていたが、本当に妙だ。 空へと抜けた天井を思い出し、私をミルハウザ夫人と言った男を思い出す。さらにあの蒼いドレスを思い出して血が勢い良くめぐり、今にも飛び上がりそうだった。
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