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「ん、怒ったのか? いや、もちろん君の立場は尊重するよ。私は雇い主を内定させる為に呼ばれたものだからな。
私の資格は君のものだし、戦いで得た推薦は全て君にくれてやる。それなら文句はなかろう?」
そして、ワナワナと拳を震えさせている雇い主に派遣社員は告げた。
「どうせ君に雇い主権限は使えまい。
まあ、後の事は私に任せて、君は自分の身の安全を……!?」
「あったまきたぁ――――! いいわ、そんなに言うなら使ってやろうじゃない!」
もう、容赦なしだと、こんなひねくれ者相手に情けなんてあるものかッ!! と。
「――――Anfang(セット)……!」
「な――――まさか……!?」
「そのまさかよこの礼儀知らず!
Vertrag……! Ein neuer Nagel Ein neues Gesetz Ein neues Verbrechen――――!」
直訳すれば、'雇い主権限を用いて、この馬鹿を私に従わせなさい'
「馬、馬鹿かマスター、そんな事で雇い主権限を――――ッ!!」
「うるさーいッ!!」
こうして、警報機に引っ掛かった派遣社員との契約を、この日、遠坂 凜は庭先で交わしたのであった。
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