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まだその女子高生は電車の中にいるが、僕の顔をチラチラ見ては下を向き、何か言いたそうな表情をしていた。
しかし、誰なんだろうこのえげつない匂いを醸(かも)し出しているのは。
まだ、人が多くて本当に誰だか分からない。
「あの……」
僕が周りを見渡していると、先程痴漢にあった女子高生が恥ずかしそうに喋りかけてきた。
「さっきはありがとうございます…怖くて……」
僕の声が聞こえていたのか。
別にそんな事どうでもいいが、僕が今気になっているのは電車の中の1人だけだ。
女子高生のお礼など聞いている場合ではない。
「優しい人ですね!なんだか分かります!私声を出す勇気がなくて……」
優しい?
何を言っているこの女の子は?
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