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しまったと思ったときには遅かった。こんな雑踏の中を走ったらどうなるか。
弟は人とぶつかってしまった。ぶつかった人と弟はお互いに尻餅をついていた。
「いたぁ。前見て走りや!」
ぶつかった人は関西圏の人らしく、それらしい言葉を話ていた。しかし弟は挙動不審に俯いていた。
「謝るくらいあるやろ。」
母はすぐさま「ごめんなさい」と頭を下げた。
「いい歳して自分で謝れも出来んのかい。」
「すいません。息子は知的障害なんです。」と母は再び頭を下げた。
「…ならこんなとこつれてくんなや。しっかり面倒みれんなら人前だしちゃあかんやろ」と言って、その人はどこかへ行った。
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