Pierrot

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「だから、勘違いしないでって。……覚えてる? リンドウさんの死亡が確認されたときのこと。みんな凄く落ち込んじゃって、泣いてる人もたくさんいてさ……」 「あぁ、そうだな。あん時はみんなが自殺するんじゃないかって思ったくらいだ」 第一部隊と僕が共同で討伐したディアウス・ピターからリンドウさんの神機と腕輪が発見されて、正式にリンドウさんの死亡が認められた。 それは、アナグラ内の全員が心のどこかで思っていた「リンドウさんが死ぬはずない」という想いを真っ向から否定する結果だった。 その時のアナグラの様子は酷かった。 みんながみんな、世界の終りみたいな顔をして、すすり泣く声も至る所から聞こえていた。 「そう、全員がすごく悲しくなって、私自身もリンドウさんほどの人が死んじゃうのが受け入れられなくて……」 そう言えばあの時はリッカも泣いていた。 姿は見なかったが、小さな嗚咽が僕の耳に聞こえていた。 「でも、その時に稲瀬くんが、『リンドウさんまでいっちまったかぁ、また面倒になるなぁ……』って、言い出してさ」 「あぁ、そんなこと言ったなぁ」 その後、全員が一斉に僕を睨んだのを覚えている。 台場カノンというゴッドイーターの少女からは、一緒に戦場に出たら誤射でぶっ殺してやる。 そんな殺気を感じたほどだ。 「さらにキミといったら『僕は弱いからあれだけど、みんな頑張れよ~』って、笑いながら言うし」 あの時を思い出したのか、リッカは小さく笑った。 「即、デリカシーがないとか、KYとか言われたなぁ」 KY(空気読めない奴)ってなんだよ。 何十年も前に流行った言葉だぞ。 そして、僕は一斉にみんなから非難を受けた。 まぁ、当然といえば当然だ。 でも、思いもよらないところから助け船が出された。 ……それが、レイリィだった。 彼女が言った言葉。今でも鮮明に覚えている。 「そうですよね。リンドウさんが居なくなってしまった以上、わたしたちが今までよりも頑張って極東支部を支えていかないと……」 彼女はまだ新人と呼ばれていて、リーダーなんていう肩書きも一切持っていなかったのに……。 あの時から僕の中でレイリィは少し特別になった。 新人という感覚から、頼れる仲間に変わった。
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