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どれほど泣き腫らしただろう。
いつの間にか涙は止まり、ただ無心で枕に顔を埋めていた。
~~~~♪
管楽器を奏でるような軽やかなメロディが館内放送の始まりを告げる。
『第一部隊隊長レイリィ・レイル・ロード。ツバキ少尉がお呼びです。エントランスまでお越しください。繰り返します……』
なんだろう?
休日に呼び出しなんて。
「……また特務かな~」
正直言って、特務はあまり受けたくない。
みんながわたしのことを強いと言ってくれるのは嬉しい。
……でも、ひとりでアラガミと戦うことほど心細いことはなかった。
それが強力なアラガミであればなおさらのこと。
でも、戦うしかないよね。
それがわたしの義務なんだから。
ゆっくりと体を起こして支度をする。
しかし、最後に鏡で確認したところで動きが止まった。
「…………」
さいっあく……。
鏡に映っていた自分の顔は、今まで泣いていましたと言わんばかりに目が赤く充血し、少し腫れていた。
こんな顔でどうやって人に会えというのだろう。
このまま内容を聞かずにアラガミの元へと直行してしまいたい。
しばらく考えた挙句、冷たい水で数回顔を洗ってみた。
「うん、これでなんとか……」
少しは腫れも引いた。
目の充血は今まで眠っていたで押し通そう。
大丈夫。無茶を通せば道理は引っ込むものだ。
「んじゃ、楽しいお仕事に勤しもうかな~」
沈み切った心を持ち上げるように、レイリィは軽やかな足取りで部屋を後にした。
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