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巨大なサソリと中世の騎士を合わせたような風貌を持つ第一種接触禁忌のアラガミ"スサノオ"。
その鋭く長い尾に吹き飛ばされた仲間を見てレイリィは叫んだ。
「ソーマ、大丈夫っ!」
「っ、大丈夫だ」
尾が当たる瞬間に神機の装甲を展開していたソーマは、吹き飛ばされはしたものの大したダメージはないようだった。
「わたしが前に出る。ソーマはわたしのフォロー、アリサっちとコウタは遠距離から弾幕張って」
指示を飛ばすとすぐにスサノオと距離を詰める。
そのままの勢いでロングブレード型の神機を大きく振りぬいた。
このままじゃ、ちょっとまずい……。
レイリィはほとんど密着した状態で避ける、切るを繰り返しながらも考える。
ツバキさんから連絡があったのは5分ほど前。
その内容を聞いた瞬間に心臓が握りつぶされるような恐怖と緊張が走った。
『エイジス島にアマテラスとアイテールが向かっているのがわかった。おそらく、あと数分で到着するだろう』
アマテラス、アイテール。
どちらも強力なアラガミ。
討伐した経験はあってもそれは単独で行動していたもののみだ。
その際だった何度もひやっとする体験をした。
急がないと……せめてスサノオだけでも倒しておかないと。
3体同時なんてことになったら……。
最悪の結末を想像して、レイリィの体が一瞬だが硬直した。
その一瞬をスサノオは見逃さず、己の右腕である神機をレイリィに振り下ろす。
「つぁっ……」
「レイリィさんっ!」
なんとか装甲は開いたが踏ん張りが利かず、構えた神機で頭を強打してしまった。
「大丈夫ですかっ! いま回復します」
「うん、ありがとね」
アリサは近づきながら回復弾でダメージを癒してくれた。
「レイリィ、ぼさっとしてちゃダメだよ」
ソーマと二人でスサノオを足止めしてくれたコウタが遠くで叫ぶが聞こえた。
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