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心の中で何かが跳ねる。
思考にどす黒い何かが流れ込む。
これは……アラガミ化の兆候。
いつも意識を失う寸前で感じる捕食への渇望。
エイジス島内部に降り立ち、レイリィたちを追いこむアラガミを睨みつける。
「ウゥオォォォォォッ!!!!」
何も考えず、抑えきれない衝動を叫びとして吐き出した。
「え、稲瀬さん……?」
「危ないっ!」
「えっ……」
叫び声に気を取られたアリサが、アマテラスの巨体を支える幾つもの触手からなる前足に吹き飛ばされたのが見えた。
一瞬で気を失ったのだろうアリサは、叫ぶことなく紙切れのように空中を舞い僕の前に堕ちる。
そのボロボロの姿を見た瞬間に自分の理性が飛んだ。
「――――――!」
声にならない叫びがエイジス島に木霊する。
その瞬間、アマテラスが打ち出した業火が3つ、辰嵩を包みこんだ。
「ぅそ……あぁ、あああぁぁぁあぁぁっ!!」
業火の中で聞こえたのはレイリィの悲痛な叫びだけだった。
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