The third kind contact is tabooed

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圧倒的な力量差で行われる暴力。 それを茫然と眺めていたコウタにソーマが近付いてきた。 「ぼさっとするな。今のうちに逃げるぞ」 「え……でも、逃げきれるのかな」 「あの黒いアラガミはオレ達を狙ってない。逃げるならいまだ」 そう言うと、コウタに担がれているレイリィを受け取ろうとする。 「……げない」 「ん?」 差し出されたソーマの手を振り払ったレイリィは、しっかりと自らの足で立ち、アマテラスを攻撃し続けている黒いアラガミを見た。 「わたしは、逃げないっ!!」 「レイリィ、何を言ってるんだよっ!」 「あのアラガミは辰嵩さんだ。わたしは辰嵩さんを絶対に連れて帰る」 「馬鹿が。一度アラガミ化した人間は二度と人には戻らない。ゴッドイーターの中じゃ常識だろう」 ソーマの言うことは正しい。 普通、一度でも完全にアラガミ化してしまったゴッドイーターは二度と人間に戻ることはできない。 「そうだとしても……そうだとしても、わたしは辰嵩さんを助ける」 両の眼から大粒の涙を流しながら叫ぶ。 ソーマの言っていることが正しいとわかっているからこそ、その事実が悔しかった。 「これは、わたしのわがままだから……みんなは逃げて」 涙を流しながらも優しく笑う。 「これは……命令だよ」 ――――! 刹那、アマテラスの断末魔がドームに響き渡る。 見れば、黒いアラガミは触手でアイテールを地面に縫い付け、ゆっくりと近づいていく。 「……ソーマ、アリサを頼むよ」 コウタは小さく呟いて、ソーマにアリサを渡す。 「レイリィ、その命令には従えないよ。オレも残って辰嵩を助ける」 「ダメだよっ! コウタもみんなと逃げて」 「いいじゃんか。オレ達は同期だしさ、変な遠慮はいらないって」 それに、アリサが無事ならそれでいい。
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