Scene.4 これもまた

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秋葉ちゃんに見せて貰った手紙の差出人の住所に間違いが無いのならば、声を掛けてきた男と一緒に暮らしている事になる。 何故なら男は確かにここが自分の家であると言ったのだから。 「あの、阿部まりあさんはいらっしゃいますか?」 だから俺は男にそう声を掛けた。 どんな理由で俺と同じ位の歳の男と一緒にいるかは分からないが、男がこの家の住人である以上、この男に尋ねる事が最良だと思ったからだ。 「えっ?まりあの知り合い?見た感じ高校生くらいに見えるけど、どんな関係でどんな用?」 そんな俺を向こうも怪しく思ったのだろう、そう返してきたのである。 …………確かに、小学生の女の子に高校生の男が訪ねてくるのは、警戒されても仕方ないだろう。 確実にお互い様であるが。 「ま、まりあはわたしのお姉様です。お姉様に会いにきたのです」 そんなお互い様な男同士のやり取りを遮って、秋葉ちゃんが男にそう言った。
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