Scene.4 これもまた

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俺の言葉を受けた男は顔を俺に向け口を開いた。 「あっ、ごめん。まりあの話ばっかしちゃってさ。自己紹介がまだだったね。能代君、俺の名前は小鳥遊 渉(たかなし わたる)。高校一年生。訳あって、秋葉ちゃんのお姉さんのまりあと住んでる。能代君は何歳なの?」 そして、質問の答えには程遠い答えを返してきたのである。 でも、まぁ、相手の事を知ってからまた聞けばいいだけだし、自己紹介されただけマシってもんだろう。 「俺も高校一年です。で、まりあさんって、どんな感じなんです?」 聞かれた事に答えつつ、きっちりと再度同じ質問をぶつけてみる。 小鳥遊 渉。 秋葉ちゃんの手紙に書いてあった差出人住所欄にあった名前だが、まさか俺と同じ年とは。 親同士が仲良くて、何かの事情で小鳥遊の親が秋葉ちゃんの姉さんを預かったのか? などと頭の中で考えていると、小鳥遊から返事が返ってきた。 「同い年なら敬語は止めよう。堅苦しいしさ。まりあは、秋葉ちゃんと違ってもっと偉そうでワガママな娘だよ」
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