一本目:SOS

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ハミルは俺の手を見て、聞いてきた。 「最初の間は何よ」 「気にすんな、親父の姓かお袋の姓か迷っただけだ」 「で?、アガレンはどっちなのよ」 「お袋だ。ここまで俺を育てたのはお袋だしな」 ふ~ん、といって俺の手を握る。 ハミルの手はひんやりしてて少し気持ちよかった。 やっぱ、悪魔のような能力があっても、女の子なんだなぁ。 「ちょっと、そろそろ離しなさいよ、気色悪い」 「気色悪い言うな。 それで、リンはどこに向かってるんだ?」 「機会都市:ベルグラン。あそこには一度行ってみたかったのよ」 「いつでもいけたんじゃないか?」 ハミルは俺をチラッとみて、ため息をついた。 今度はなんなんだ…。 「私がつんつららになってた理由も話して無かったわね…。 なんでつんつららになってたかわかる?」 「ん~、身を守るため、とか?」 「そう、一日に何回か襲ってくる悪魔を殺すために、つんつららを起こしてるの。 でもさっきも言ったけど、私の魔力はスミラとアルセウスの血が混ざっててあんまり大きなことは起こせないの。 無理に扱おうとすれば、もれなく暴走するでしょうね。 でもつんつらら自体魔力の消費は半端無いの。 だからいちいち休憩してるわけよ。 さっき起こしたから、後2、3時間は発動できない。 けどあなたが来たから、私はこの場を離れることができる。 あなたが守ってくれるから」 一見護衛として働かせることしか考えてないのかと思ったら、相当な信頼は置かれてるみたいだ。 少し、うれしくなるな。 親父はどれだけの人に信頼を置かれていたのやら…。 見つけたら、殴ってから聞いてみよう。 「そういえば、あなたいくつなの? ずいぶん若いようだけど、ルネアドルに何の用があったの?」 「あー…、それは……」 正直恥ずかしくて言えることではなかったが、とりあえず、いきさつは説明した。
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