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ハミル一通り笑疲れたのか、ふぅ、と一息吐いた。
俺は地べた(リンの背中に座り込みため息を吐いた。
俺はポーチから最後の携帯食料を取り出す。
…、最後の携帯食料。
「はむっ」
「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!
何してんの!?、人が名残惜しそうに見てるのに!!
くそぅ!、腹減った……」
「何よ…、そんな大声出さなくても良いじゃない…。
ほら、食べ物ならあげるからこっち来なさい」
「ヒャッホゥウウ!」
わかりやすい奴…、と呆れられたけど、旅人に取って食は基本だぜ。
これまでの旅で嫌という程実感した。
あぁ…、あのおばちゃん、元気かな…。
俺がそんな遠い目で見ていると、肘でわき腹を刺された。
「ってぇな、なんだよ」
「別に、女を思い浮かべてる顔だったから」
「…それがどうして刺される理由に?」
確かにおばちゃんは女だったけど、飯をおごってくれた恩人だ。
「…恋人の顔でも浮かべてたの……?」
「は?、俺はそんなのいねえよ。
第一、魔法の勉強と道場に通いまくってて、そっちには手を出してる余裕なんか無えよ」
はぁ、恋愛の一つや二つはしてみたかったなぁ。
今思えば、灰色の青春だなぁ…。まだ18だけど。
「………、」
「いてっ!、なんだよ!、いたいっての!」
何故か殴ってくるハミルの腕を掴んで止めた。
「なんなんだよ一体。なんかしたか俺」
「知らないわよ。早く放しなさい、ご飯あげないわよ」
「へいへい」
変な奴。
ハミルについて、奥の空間へ。
そこには氷付けにされた魚や何かが沢山いた。
これ、どうやって食うの?
「あなた、魔法使えるんでしょ?
食べる分だけ解凍して焼きなさい」
ハミルは俺に掴まれた所をさっさ、と払う。
汚らわしい扱いを受けてる様な…。
まぁいいや、まずは飯だ。
一番デカい魚を掴み取り、そこらにあった串を無理矢理貫通させる。
そこから掌に炎を灯し、解凍していく。
それをじー、と眺めるハミル。
俺が振り向くとすぐにそっぽを向いた。
一応、視界に入ってるから、俺を見てるのはわかってるけどな。
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