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そんで、俺の持ち金はたいてこの船に乗ったんだ。
なのに、なのにさ…。
「船間違えるたぁ、残念だったな。
料金が同じじゃ無かったら叩き落としてる所だぜ」
「…冗談きついぜおやっさん……」
「ヌハハハハ!!、ま、こんな所で会ったのもなんかの縁だ。防寒具ぐれえは貸すぜ」
「サンキュ、助かるわ」
船員達が優しかったのが幸いだな。
この船が向かうのは防寒具が必要な程寒い所。
大陸:ルネアドル
万年氷が数多く点在する極寒の地だ。
こっちははっきりいってほっとんど交易なんてないし、人はあんまいない。
居るのはその極寒に適応した魔物や精霊、後は…。
「………来た。
坊主、サッサと中に入れ。
対風障壁を展開する」
「…わかった」
一日に数回起こる、つんつらら。
強過ぎる突風により、垂れてるつららを全て薙ぎ払って、さらっていくのだ。
それらはほとんど棘を向けて飛んでくる。
ルネアドルにほとんど人が住まない理由だ。
俺は急いで中に入る。
中には既に船員と乗客が衝撃に備えて固定椅子にしがみついていた。
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