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若葉の、実は柔らかい髪を撫でる。
こいつの体の部位では割と好きだな、と撫でてやれば、若葉は間抜けな顔でこっちを見てる。
俺に似てない平々凡々たる顔。嫌いではない。むしろ泣きそうになった時の表情はそそる。
「兄ちゃ……?」
「そうだな。若葉レベルで考えるべきだった。ついお兄様と同等で扱ってしまった。お兄様がここだとすると」
自分の頭上に手を置いて、そしてそのまま床にその手をたたき付ける。
「若葉はこの辺より下位をさ迷ってるレベルだったか」
「に、兄ちゃん酷い!!」
半泣きで紙に顔を埋める若葉の髪を引っ張り、それを拒めば、本気で泣きそうだ。
その顔は良い。俺が泣かしてると思うと興奮する。
しかしこれ以上は抑えが効かんし……ま、笑ってる顔も好きだがな。
「若葉」
「兄ちゃんのドS、鬼畜っ」
「わーかば」
「……何だよ」
もう一度撫でてやれば、むくれた顔をしてこっちを見る若葉。
口を出すと、それ奪うぞ。馬鹿め。
「この完璧なお兄様にも、お前に敵わないことがある」
「俺に……兄ちゃんが?」
「お兄様がお前の家事の腕は認めてる。料理はお前が作る物以外はゴミだと思うし、掃除もお前以外にはお兄様の部屋させたくはない」
「!!」
若葉の表情が急激に明るくなったのは、言うまでもない。
全く扱い易いな。
「兄ちゃん……ほん、と?」
「お兄様が嘘を言う訳がないだろ」
「…………うん」
何だその間は。
ムカつくので、頬を引っ張る。
「い、いひゃい!!」
「は? 何て?」
「いひゃ、うー」
「意味がわからないな」
「ひょひぇす!」
意味がわからないことをほざいてるのは俺のせいだが、リアクションが面白いから放置だ。
若葉は本当に弄り甲斐がある。
誰が他の輩にやるか。
若葉は、俺が一生可愛がってやると、若葉が生まれた時に決めた。
まだ床に這いつくばる若葉を抱き上げ、実は滑らかなその肌に唇を落としてやれば、馬鹿みたいに真っ赤になる。
「に、にに、兄ちゃん!?」
「お前のような愚かしくてどうしようもない、手のかかる弟は、お兄様が面倒を見て愛でてやる。有り難いだろ。感謝してもしきれないな?」
「あ、兄離れを、したいよ!!」
そんなものさせる訳がないだろ。
若葉は一生、お兄様の物なんだからな。
END.
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