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暇潰しに応募した雑誌の懸賞が当たってしまった。
温泉旅館一泊二日。
どうせなので晴と玲司を誘えば、ちょうど通り掛かった権蔵も参加したいと言うので快く許可すれば、やはりと言うかケンちゃんに情報が漏れていたので、仕方なくケンちゃんも誘ったのだけれど。
「わぉ、こう……旅館、って感じだねぇ」
「いや、意味わかんねぇよ」
「栞の言葉を理解出来ないとは、頭が悪いな、佐倉晴」
「オレかよ!?」
「栞、卓球」
「まさに、だね。でも玲司、まずは一度お風呂入ってからにしようか」
「ん」
「わんちゃんっ、早く温泉に入りましょっ。今あたし好みの体格をした集団が入って行ったのよん」
「権蔵が楽しそうで何よりだよ」
「いや、止めろ」
晴は相変わらずツッコミに忙しいねぇ。
軽い足取りの権蔵に続いて脱衣所に入れば、急にケンちゃんに抱き込まれてしまった。
うぅ、苦しい。
「ケンちゃん、何をするんだい。苦しいでは無いか」
「栞の綺麗な素肌を他人に見せたくない。勿体ない」
「相変わらず、ケンちゃんは頭が沸いているねぇ。脳外科に一度行ってはいかがだろうか」
近い美形の幼なじみの額を指で弾くと、隣にいた玲司がケンちゃんに回し蹴りを入れていた。
今日の玲司はアクティブなのだよ。
「栞に、抱き着くな」
「玲司……随分愛の有るスキンシップだな」
「愛が有ったか……?」
「ケンちゃんは勘違いがデフォルトだからねぇ」
玲司のお陰でケンちゃんが離れてる隙に、さっさと脱衣をしようと服に手をかければ、隣から腕を捕まれた。
「何をするんだい、晴。邪魔をされては温泉に入れないではないか」
「いや、いつもの癖、つーかよぉ……ちょっと時間くれ」
「? 何故?」
「……てめぇはもっと、自分の容姿自覚しろ」
はて、自覚した上で、何故に脱衣を止められなければならないのだろうか。
「男同士で気にすることないではないか、ケンちゃんではあるまいし。それとも裸の付き合いが恥ずかしいのかい?」
「てめぇ以外は何ともねぇっての」
「佐倉晴。不用意に俺の栞に近付くな。栞、服が脱ぎたいなら俺が脱がしてやろうか? 恥ずかしそうにする栞を今度のオカズにするから」
「遠慮するよ」
「てめぇは少しオープンなのを抑えろよ!」
「佐倉晴のようなむっつりだと、気味が悪いだろ」
「むっつ……」
晴が絶句したところで、もう脱ぎ終わっている玲司に見習って、僕も脱ごう。
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