卓球は醍醐味なのだよ

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「晴の背中って、意外と広くてがっしりしているのだねぇ」 「……てめぇよりは、鍛えてあるつーの」 大人しく洗われる晴が、ちょっと懐いてきた大型犬に思えるのは僕だけだろうか。 あぁ、やっぱりゴリラ? 順調に広々とした背中を泡だらけにしていると、玲司が手を止め、お湯をかけてきた。 うーん、気持ち良い。 「終わった」 「じゃあ、次は僕の番だ。晴、玲司を洗うから途中ですまないけれど、ちょっと待ってて……僕の背を洗うかい?」 「あ"ぁ? ……洗うとこ、ねぇだろーがぁ」 「それもそうだね」 「あらーん、まだ洗うとこあるじゃないの、前とか? 実はわんちゃんのお尻に指を突っ込みたいんじゃないのかしらぁ? そんなこと断じてさせないけどぉ」 「あ"ぁ!?」 「俺は突っ込みたいがな」 「いや、風紀委員長は黙ってろよ……つーかもう、下ネタ風紀黙れ!!」 いつの間にか権蔵とケンちゃんが集まってきていたよ。 みんな洗い合いたいのかな? ケンちゃんはごめんだけれどねぇ。 「佐倉晴が俺より先に突っ込むのは有り得ない。後にも先にも、栞に突っ込んで良いのは俺だけと、自然の摂理で定まっている」 「だから黙れってんだろーがぁ」 「あたしはどっちかと言えばぁ、マッサージしてあげたいわん。あぁ、勿論アナ「言わせねぇ!!」ケチぃー」 ふふ、楽しそうに盛り上がっている3人は、無視した玲司に引かれ先に湯に浸かっていることにいつ気付くのだろうねぇ。 「良い湯だねぇ」 「今度は二人で来たい」 「おや、それも良いねぇ。ゆっくり温泉街を回るのも楽しそうだ」 玲司と二人で和んでいれば、先に気付いて乱入してきたケンちゃんにまたセクハラされそうになったので、絶交を申し立てれば大人しくなったのだよ。 このあと、晴が権蔵に襲われかけたり、ケンちゃんが甘えてきたのを玲司が追い払ったり、権蔵に体をじっくり見られたりと、まぁ色々あったけれど、それなりに楽しめた休日だったと思うよ。 最後に卓球で寝る場所を決めるのが一番白熱していて(主にケンちゃんが)、他の利用者に若干迷惑をかけたのは余談だ。 更に余談なのは、権蔵が夜中に他の部屋へ乱入して翌朝帰ってきた顔は晴やかだったと言うことだけれど、本人が楽しそうだったから、まぁ良いよね。 晴には駄目と言われてしまったけれど。 有意義に過ごせた僕は大満足だったので、また何かあればプチ旅行したいと思えたのだった。 END.
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