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「雪だよ」
君が誰にとなく投げ掛けた
真っ白い雪。あの雪山よりも優しくて、人の気配があって、目の前に君がいる、アットホームな積雪。暖房の聞いた部屋、布団の匂い、あったかい。
「珍しいんだよ、こんなに積もるの。私も数年ぶりに見た」
すごい、すごい。指先を真っ赤にして、開放した窓のサンに手をかける。俺はその鐘のように冷たい白い皮膚に右手を重ねた。そっと彼女も指をからめてきて、なんだか満足した感覚がこみあげる。
「ホットココア、のもうか」
上目で見上げてきた少女の額にキスをひとつ。ああと返事をして、扉を開けるのだ。
せいしょうしゃ
(しんがいぬき)
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