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~♪~
プリン
「…え?
流産っ?」
アリシア
「えぇ
お母様も、ひどく嘆かれていたわ…」
プリン
「それはお可哀想に…」
アリシア
「でも、
一番可哀想なのは、これから産まれてくる、あの子のパートナーのトナカイの子ね…」
プリン
「サンタクロース(主人)無しのトナカイ…
何のために産まれてくるのか…
哀れな使命を持たない、愛しいわたしの弟…―」
~♪~
プリン
「ピコ。ピコ?
ピコどこにいるの?」
ピコ
「………」
プリン
「あぁ、そんなところにいたの、探しましたよ
……また、泣いていたの?」
ピコ
「ねぇ、お姉ちゃん
何で、…何でボクにはサンタクロース様がいないの?」
プリン
「……。
わからないわ…」
ピコ
「お姉ちゃんには、サンタクロース様がいるから…」
プリン
「えぇ」
ピコ
「ボク…何でトナカイなんかに産まれてきたんだろう…」
プリン
「ピコ。」
ピコ
「なに?」
プリン
「明日、私は用事があるんですが
よかったらあなたも一緒に来てくれないかしら?」
ピコ
「アリシア様のところ?」
プリン
「いいえ」
ピコ
「………。
いいよ」
プリン
「ありがとう
朝早くに出掛けるから、今日中に用意をしていてくださいね」
ピコ
「うん
わかった」
~♪~
ピコ
「うわぁ!
綺麗な森!
見たことの無いものが沢山あるよ!」
プリン
「あぁ
ピコは、今日が初めての遠出でしたね」
ピコ
「うん!」
プリン
「楽しい?」
ピコ
「うん!」
プリン
「そう」
ピコ
「あ!
あれなぁに?
とても立派なお屋敷!」
プリン
「あれは、マリア様のお屋敷よ」
ピコ
「マリア様?」
プリン
「とても立派なサンタクロース様…だった人の家よ」
ピコ
「…だった?」
プリン
「去年、トナカイのポート様が寿命よりこの世を去られたの
トナカイを持たないサンタクロース様は、サンタクロースではいられない決まりだから」
ピコ
「………」
プリン
「それでも、偉大なお方…
私は今でも、これからもマリア様を慕っているわ」
ピコ
「ねぇ」
プリン
「なんですか?」
ピコ
「トナカイを失ったサンタクロース様は、人間に戻るんだよね」
プリン
「えぇ
そうね」
ピコ
「じゃあ、サンタクロース様を失ったトナカイは、何になるのかな…?」
プリン
「それは、私にはわからないわ
…でも、マリア様なら、あるいは、あなたをその問いの答えへと導いてくれるかもしれません」
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