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いつもの道に出れば、さんさんと輝く太陽。
思わず目を細めてしまうくらいに、眩しくて。
いい天気だなあ、なんて思いながら見慣れた道を歩いていく。
次の角を曲がればもう学校だ。
徒歩5分で着く学校って、便利だ。やっぱり。
「あ!おはよ。葵。」
「ん?」
とん、と肩を叩かれて振り向けば、私の頬に人差し指を立てていたらしく、見事に引っ掛かった私がいた。
そういった出来事に意地悪っぽく笑っているのは、私が知っている人の中では一人しかいない。
宮野 圭介(みやの けいすけ)。
…一般的に言えば『彼氏』と部類される男だ。
「…何よ。」
「うわっ、なんだよその反応。もうちょっと可愛くリアクション出来ねーの?」
「『きゃっ。ちょっとぉ!ビックリしたじゃない!』」
「…ぶぷ。馬鹿じゃねーの。」
「アンタが言ったんじゃん。」
そんなやり取りを続ければ、あっという間に学校の校門が見えて。
…あ、まださすがに桜は咲かないか。
校庭にある桜の木を見ながら、そんなことを思った。
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