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「…い、おい。…葵…?」
「……あっ、何?」
「何だよ、ボーッとして?マヌケ面満開だったけど」
「うるさい。」
視線を桜の木から逸らして、不思議な表情を浮かべている圭介の顔を見る。
『ごめん。』
なんだか、無償に謝りたくなったけれど。
なんでかは、分からないことにした。
「あー!二人ともおはよ~!」
「あ、未来。おはよ」
「はよ。」
そんな声がして、後ろを振り向けば、屈託のない笑みを滲ませている『友達』、本城 未来(ほんじょう みく)。
クラスメートで中学からの『友達』だ。
「あれ?…もしかして、お邪魔だった?」
「そんなことないよ!むしろ大歓迎!」
「…なんか複雑なんだけど」
あはは、と二人が笑うのを見て私も『笑顔』を作った。
作り笑いは得意だと、自分で思う。
一番場を丸く抑えるのには、これが1番手っ取り早い。
二人が会話しているのを見ながら、そっと目を伏せた。
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