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「私はアリス。白いウサギを探しているの。どこにいるのかしら?」
あたしはだんだん演技にのめり込んでいた。
「『私を飲んで』?このビンの中身を飲めばいいのね?」
…これは小さいドアをくぐる時のセリフ。
「チェシャ猫、あなたはどこにいるの?」
…これは、1人になったアリスが不安でチェシャ猫を探すセリフ。
「私はアリスよ。他の誰でもないアリスなの!」
…これはアリスが帽子屋に言ったセリフ。
あたしはそのセリフを言った後小さな拍手の音を聞いた。
『やっと、アリスになったんだね。』
その拍手の音は体育館の入口に立っていた変な男からだった。
「…誰?」
あたしはその男に聞いていた。その男は奇妙な格好をしていた。シルクハットに黒いスーツ。
例えるなら、そう。不思議の国の帽子屋の様。
「見ての通り、帽子屋だよ?」
その男は、ニコッと笑って近づいてきた。
なぜか体育館はいきなり暗くなり、その男だけが光っている。
「帽子屋…?アンタ本気で言ってんの?」
あたしは呆れて言った。
でも、帽子屋を名乗る男は笑顔を消さないで言った。
「君を迎えに来たんだ。」
「あたしを…?」
ますます意味が分からない
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