第1話 君はアリスなのだから。

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「私はアリス。白いウサギを探しているの。どこにいるのかしら?」 あたしはだんだん演技にのめり込んでいた。 「『私を飲んで』?このビンの中身を飲めばいいのね?」 …これは小さいドアをくぐる時のセリフ。 「チェシャ猫、あなたはどこにいるの?」 …これは、1人になったアリスが不安でチェシャ猫を探すセリフ。 「私はアリスよ。他の誰でもないアリスなの!」 …これはアリスが帽子屋に言ったセリフ。 あたしはそのセリフを言った後小さな拍手の音を聞いた。 『やっと、アリスになったんだね。』 その拍手の音は体育館の入口に立っていた変な男からだった。 「…誰?」 あたしはその男に聞いていた。その男は奇妙な格好をしていた。シルクハットに黒いスーツ。 例えるなら、そう。不思議の国の帽子屋の様。 「見ての通り、帽子屋だよ?」 その男は、ニコッと笑って近づいてきた。 なぜか体育館はいきなり暗くなり、その男だけが光っている。 「帽子屋…?アンタ本気で言ってんの?」 あたしは呆れて言った。 でも、帽子屋を名乗る男は笑顔を消さないで言った。 「君を迎えに来たんだ。」 「あたしを…?」 ますます意味が分からない
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