朝の挨拶は

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タイミング良く、話の的の2人は仲良く教室から出ていたようで、口々に出される問いかけはとどまることを知らない。 かといって、これまでろくにクラスメイトと会話をしなかったわたしが、この状況で答えられているわけもなく………というかもちろん切っ掛けが例の落書きだなんて、知られたくもない。 みんな彼らのことが気になって仕方ないんだなーとか思いつつ縮こまっているわたし。 「麻崎くん、女は嫌いって言ってたのになんで潮崎さんには挨拶したの?」 「あたし挨拶しても返されたこと無いのにー!!」 「名前呼び捨てだったしな。」 「案外女としてみられてないだけじゃ?」 「それ言えてるー!もしそうだったら超ウケるし(笑」 返事を返さないわたしに、上空を飛び交う会話は勝手に進んでいて、そんな話のくだりになったとき「ちょっとどいてー」と妙に間延びした声がこの人集りに向かって聞こえた。
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