テーマ『熱燗』

2/2
前へ
/100ページ
次へ
  程良い涼夜の緩やかな風を肴に 程良い人肌に温められた 程良い度数の柔らかいお酒 "程々に飲めよ" 隣のあなたから ひとの事ばかり "分かってるよ" 誰が言うたとて 誰に言うたとて もう深入りしないよう 瞳を閉じ無言で頷くの そんなあなたの方こそ 貴方もきっと寒かったのね 何も言わぬまま寄り添う 二つの心と二つの躰 程良い酒に 頬 桜に染めて ほろ酔い咲いた恋の花 思いがけない真顔に 驚いて目を反らした 止まって素直な鼓動 酔っ払っていない? 半ば誤魔化しながら 話す言葉に 溢れ匿せぬ一言は 留め処なく口衝き 狼て更なる盃呷る 未だ酔えぬ月を見て そっと口づけ囁く夜 もう一献如何ですか  
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加