地獄来ちゃいました

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ベルは相変わらず黒いスーツを着こなし、ウェーブがかった髪をゆるく一つ縛りしている。 とにかく美形な男だな。悔しいが。 長い足を組んで、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。 「ふふ、どうした?また泣きそうな顔になっているぞ。むしろ泣け。」 どんだけドS発言!? 「な、泣きませんよ!」 「よかろう。そんなお前に今の現状を我が輩自ら、懇切丁寧に教えてやる。」 なんて恩着せがましい言い方だ。 「最初にも言った通り、我々は川を渡っている。日本では"三途の川"、ギリシャ神話ではステュクス、アケロンなどの呼び名があるが…まぁ要するに現世と死後の世界を分ける川だな。」 まさか本当に三途の川とか地獄が存在するなんて… 「本来ならば橋か船で渡るか、もしくは泳ぐしかないのだが。我が輩の愛馬"ヘルスペガサス"によって渡っている。」 ぎゃぁあペガサスなのにヘルなの!?地獄なの!?どんな生物だ…。 「お前が見た"鬼火"も"オーブ"やら呼称があるが、要は魂だ。文化の違いにより、いくつもの名前が生じるだけにすぎない。」 「お、俺も死んだらあんな光になるんですか?」 「心配するな、命だけは助けてやろう。」 そんなこと聞いてなぁい!
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