地獄来ちゃいました

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「ならばどうするつもりだ。名無しの"餓鬼"となり、一生地獄で彷徨うことになるぞ。」 なにそれ怖い! 「そんな…でも、とにかくそんな名前嫌です!自分の名前も本当は…捨てたく、ない…」 真宮ゆうき。この名前が消えてしまったら、自分を忘れてしまう気がする。 「贅沢な人間だな。仕方がない… では、"ミヤ"でいいだろう。」 ………! もしかして、名字から一文字取ってくれたのか? 何だ、優しいところあるじゃないか! 俺が少し見直してベルを見ると、哀れな顔を向けられる。え、何で。 「違う馬鹿者。さっきも言ったように、自分の名前は使わないことが掟だ。」 「え゛。じゃあ、どういう…」 「お前は現世では行方不明。犯人もみつからない。まさに迷宮入り事件。」 迷宮入りって…まさか、「お宮入り事件」の宮!!!? 「気に入ってくれたようだな。」 「いやっ、あの」 「気に入ってくれたようだな。」 「………はい。」 そんな有無を言わせぬ迫力で微笑まれたら、断れるわけないじゃないか! しかも行方不明、か。 ははは、俺の人生どーなってんの。
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