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「おい使用人!執事長であるこの私、アビシニアンが用件を命令するから従うようにニャ!」
………かわええ。
ベルに連れてこられた洋館は、中身も洋館だった。
高い天井。上まで続く螺旋階段。赤いカーテン。床は白と黒のチェック柄。
うーむ。いかにもヴァンパイアが住んでいそう。
その光景とはミスマッチなオレンジの毛並みの可愛らしい猫。
二足歩行でも猫は猫。俺を必死に見上げるその姿は、抱っこしたくなる。
一瞬猫の館に来てしまったのではないだろうかとも思ったが、どうやら色々な使用人がいるようだ。
壁にヌメヌメした紐がずーっと続いているかと思えば蛇だったし。
「それは百目蛇(ひゃくめへび)と言ってニャ。ウロコ全てが目の役割になっていて、館内に異常はないか監視するための蛇ニャのだ。」
玄関にある尻尾から最上階にあるベル伯爵の部屋にある頭まで体全てが館内を監視するために巻きついているのだという。
どでかい蛇だ。
ベルはというと、このアビシニアン猫に俺を預けた後書斎とやらへ戻っていってしまった。
「伯爵様はお忙しい方ニャのだ。お前ニャどに構っていられる時間はニャい。」
だったら帰してくれてもいいんじゃニャいですか!!(うつった)
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