地獄伯爵と不幸な使用人

使用人になっちゃいました

それにしても広い。迷ってしまいそうだ。

「あのアビシニアン執事長。迷ってしまいそうなんですけど。」

「お前の目はふしあニャか？廊下に置かれた銅像を見てみろ。」

ふしあニャ…ああ、節穴ね。
言われた通り廊下の端を見てみると、馬の銅像が均等に置かれていた。

「騎士（ナイト）だ。別の廊下には僧侶（ビショップ）、城（ルーク）、王女（クイーン）、王様（キング）が置かれている。それを目印にしていきニャさい。兵士（ポーン）は外にあるからまだいいニャろう。」

どこかで聞いたことがあるような。

………まさか、この白黒の床といい、チェス盤をイメージして作られたのだろうか。

「ベル様はチェスが好きなんですか？」

「先代様がニャ。伯爵様はあまりチェスはしニャいのだ。」

「へー…」

俺は身長の半分程あるチェスの駒を眺める。

…あんまり手入れしてないみたいだな。

俺は掃除しがてら、色々な場所を回ってみたいと思った。