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俺が呆然としていると、狼男は凄まじい速さで下半身に生えている己の尻尾の毛を使いながら服を編んでいった。
そしてついに、茶色モコモコのエプロンが完成した。
「ふっ。どうだ俺の実力は?」
「わぁー。凄いですね。ところで何で俺上半身裸なのに直接エプロン着ているんですか?」
「特に意味はナーイ!色っぽいぜハニー?」
ダメだ重傷だこの人は。
俺は脱ぎ捨てられたTシャツを再び着込み、その上からエプロンを着た。
ついでに頭に三角巾もオマケしてくれた。
「うむ!使用人というより家政婦っぽいがミャアいいだろう。」
執事長がしみじみと的確な感想を漏らす。
何故か狼男はぐしゅぐしゅと泣いていた。
「どうしたんですか狼男さん。」
「ウルフって呼んでくんな!うう、なんか母ちゃんを思い出すスタイルだぜ。膝枕してくれ。」
確かに昭和の母ちゃんっぽいがまさか西洋の妖怪からそれを指摘されるとは思わなかった。
そんなことをぼんやり思いながら丁重にお断りした。
「さて!着替えもできたことニャし、さっそく仕事に取りかかってもらうぞ。ウルフは狩りに出かけるのニャ!お前は館内を掃除だ!」
ウルフが面倒くさがっている横で、俺は頷いた。
掃除か。まぁ昔から掃除は好きだからいいか。
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