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「さて、と。掃除掃除。」
「待て。」
俺が腕まくりしていると、リュウが呼び止めた。
「…まだ何か?」
「俺の兄貴を見なかったか?」
あ、兄貴がいたのか。
サラマンダーが二匹…サラマンダー…
あ!
『今帰った。変わりないか?』
『あ…サラマンダーのアホが盗品を…』
「今思い出したんですけど、出迎え役の猫がサラマンダーが盗品がどうとか言ってましたよ。」
「何!?くそっ…伯爵のヤロー、兄貴に何かするつもりだな?」
そう言って、三階へと駆け上がっていってしまった。
「あっ、ちょっと……はぁ、余計なこと言っちゃったかな。」
しかし短い時間しかベルには会っていないが、あいつが恐ろしい奴だということは重々承知している。
それを、伯爵のヤローとは。勇気ある奴だ。
一階と違って少し薄暗い二階の廊下を、再び掃除をしながら進んでいくことにした。
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