地獄伯爵と不幸な使用人

使用人になっちゃいました

「ヤタさん、とても綺麗にしてるみたいですけど…よくこの会場は使われるんですか？」

「クワッ！ああ、そうさ。年に一度の娯楽…みたいなものかな。この会場に手品師とかサーカス一座を呼んで、みんなで見るのさ。もしくは映画鑑賞とかな。」

俺は意外だった。

まさか地獄でそんな娯楽があるなんて。

「みんな楽しみにしてるんですね。」

「そうさ。大切な場所だからこそ、綺麗にしておくのだ。」

俺は部屋のあちこちに設置された照明を見ながら、薄汚い図書館を思い浮かべた。

忘れられた場所と、大切な場所か…

俺は自作の地図に「演劇会場掃除不要（？）」と書き記した。