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クマはむくりと起きあがると、とても楽しそうにクスクスと笑った。
『ほう…やはり、面白い。お前は死ぬ運命だったことが何度かあるが、強力な運により回避しているな。』
何何何なに!?
この人殺しクマは何を言ってんの!?
俺がテンパったままじっとクマを見ていると、クマはモコモコした腕を組み、仁王立ちした。
『我が輩の名前はリンクス・ベル。地獄から来た高貴な伯爵であり、地獄の秩序を守る偉い権力者だ。』
……………………
………………
はい?
クマのぬいぐるみが動いたくらいなんだから、そんな不思議展開はあるとは思うのだが、非現実的すぎてついていけない。
「あのー…伯爵様。」
『ベルで良い。』
「はぁ、ベル…」
『"様"をつけろこのゲスが。』
ああもうめんどくせええええええ!!!
「ベル様!地獄から来た偉い伯爵様なら、どうして妹から貰ったぬいぐるみの姿をしているんですか?」
『ふむ、簡単なことだ。高貴な我が輩が自ら人間界に出向くなどもってのほか。この人形に憑依したまでのことだ。』
せっかく妹から貰ったぬいぐるみなのに悪魔に憑依されてしまった。
「なんで憑依してまで人間界に来たんですか。」
『強い幸運の力が必要だからだ。その気配を辿ったところ、貴様がいたというわけだ。』
お、俺ぇ?
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