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俺は、はははと渇いた笑いを漏らした。
「いやあ、襖に寄りかかってたら襖外れちゃってさ。」
嘘は言っていない。
しかし、妹の表情は依然として怒りを露わにしている。
「じゃあ、私がお兄ちゃんにプレゼントした…その、クマのぬいぐるみは?」
俺はちょうどクマが握り締めていたカッターを取り、目の前に転がっているクマを拾おうとしていたところだった。
………
いかん、これじゃ「今からこのクマ切り裂きまーす☆」って主張しているみたいじゃないか!!
「いや、みゆう!違うんだこれは!」
「お兄ちゃん…サイッテーー!!」
バッチーーーン!と妹に頬を叩かれた俺。
妹はそのまま半べそかきながら部屋を出て行ってしまった。
ほらな!?助かったはいいけど、結局最後には惨めなことが起こるんだよもう!
これが、幸運!?馬鹿げてる!
やっぱり夢だったんだろう、と俺は強引に思うことにして、夜までずっと寝ていようと固く目を瞑った。
そして、その日の夜。
月明かりによって目覚めた俺は、同時に妙な金縛りに襲われていることに気づいた。
やべぇ、体動かねえ!?
というか、窓際に誰かが立っている。
だ、誰だ!?
影はゆっくりこちらに近づく。
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