苦しい。

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明日。 明日の朝には、惟鷹は空の上。 それなのに、今晩も仕事なんて残酷すぎる。 ……誰に対して? 自問して、ため息。 あたしはまだ子供なのかな。 自分のことで精一杯。 強くならなきゃと頑張っていた頃のあたしと、ある程度図太くなれたあたしと。 変わったはずなのに、変わらない闇もある。 全部変わるなんて無理。 そんなの、あたしじゃない別の人間になるのと同じ。 そうじゃなくて。 そうじゃなくて、あと少しだけ自信が欲しい。 自信。 ……そうか、自信か。 あたしに足りないもの。 寂しくなる理由。 あたしにはきっと、自信がない。 日を追うごとに増す不安。 イベントをひとりで過ごすごとに増す侘しさ。 彼が忙しくなるほど増す寂しさ。 膨れ上がるばかりで、ちっとも収まらない。 だから自信がなくなる。 彼の人生に、あたしは本当に必要? 恋人なんか、足手まといになるだけじゃない? 彼の愛情を疑うわけじゃない。 彼があたしを捨てるとは思わない。 彼となら、きっと大丈夫と思える。 でも、それとは別に。 あたしは俳優、都築タカシのお荷物にはなりたくない。 彼から演じる喜びを奪いたくない。 あたしの愛が、彼を潰してしまいそうで怖い。
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