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「―――いったァ…」
ドアを開ければ外で、誰も居ないと踏んでいたのに予想を裏切り聞こえて来た声。
声は低めだが、多分女の子だと思われる金髪でピアスが沢山開いたイカついお姉さんが怠そうな様子で此方を見てくる。
「…ぁ、すいません」
当時、見た目は派手な髪色で衣装を着てシャウトをかましていたがまだ16歳だった私は少し引き攣った笑みを浮かべた。
「…アレ、vyo(ビョウ)のヴォーカルさん?すげーしんどそうな顔しとるね、大丈夫?」
「あ、はい。ちょっと、煙草苦手なんで」
私と目が合った瞬間何故か驚いた顔をした彼女は直ぐに場所を開けてくれた。
「あぁ、煙草無理なんだ?自分はまだ暇だから外来ただけなんだけど。あ、水とか飲む?」
一人でぺらぺらと話しながらもその声は落ち着く低さで、聞いていて何処か安堵感を覚える。
隣を叩いて"座れ"と指示され水を渡されれば、私はただ頷き「有難うございます」と言うしか無かった。
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