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「てかヒロちゃん、だっけ?何歳?」
水を飲む私をにこにこと笑いながら見詰めてくる彼女に苦手な愛想笑いを返してペットボトルから唇を離す。
「まだ16ですよー」
「え、まじ?タメくらいだと思ってた」
「え、何歳なんですか?」
「ん?18歳」
2歳年上なんて私からしたら大人で、少し背伸びをしていた私は少し嬉しくて照れた笑みを浮かべた。
「ほー。あ、てか御免なさい。お名前…」
「あ、御免ね。れんです。笑」
私の様子に笑みを返しながら彼女は名乗り、私の頭をグリグリと乱す様に触れた。
その後、私とれんさんは暫く話してふと携帯の時計に視線を遣る。
「れんさん、御免。もうあたしのバンド30後には始まる」
「あ、マジ?引き留めて御免な、ヒロちゃんの出る時には見に行くわ」
少し焦った表情で彼女に伝えれば彼女も焦った表情になり立ち上がる。
そしてドアを開けようとする私の腕をクイッと引っ張った。
「ヒロちゃん、良かったら後でアドレス教えて?」
「…あ、了解っす」
突然の言葉に驚きながらも私は、にへっと笑い掛ければライブの準備をする為にドアを開いた。
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