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青いタイルの上を、暗く赤い血が、ゆっくりと流れていく。
銀色の排水口に螺旋を描いて落ちていく。
昔観た映画のカットと同じ。
もっとも、彼女は自分で血を流した訳ではなかったけれど。
もう一度、念の為に刃を当てたが今度は、余り力を入れる事はできなかった。
放っておくと血が凝固してしまうので、手首を浴槽に沈めた。
瞬く間に水が赤く染まっていく。
私の身体も赤く染めていく。
仕方ない。こうするしかないんだ。
私の全ては終ってしまったのだから。
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