Ⅱ 毒薬

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ただ頷くばかりの私を、彼女はそっと抱きしめて、接吻した。 彼女の唇から血が滴る。 私の唇から口の中へと流れ込み、舌を濡らす。 彼女の血は、口を切った時に味わう自分の血とは余りに違った。 其れは、強力な酸のように舌を痺れさせる。 私は舌の上に溜まった劇薬のような液体を恐る恐る嚥下した。 彼女の血はロンリコデメララ。 咽喉を焼きながら落ちていく。 鳩尾の奥が燃えるように熱い。
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