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そういえば物心ついてから、傷らしい傷を負った経験が無かった。
病気も、殆どした事が無い。
何時も顔色は悪いが、病欠で学校を休んだ事は一度も無い。
それって、普通の事じゃないの?
背中がざわついた。
私は私について、何も知らない。
自分は女だと思っていたら、男だったし、何よりさっきまでパックリと口を開けていた傷口。
今は笑ってしまうほど、ちゃちな傷口。
血だらけのバスタブに横たえた身体は、とてつもなく不可思議なものに変容していた。
………私は一体、何者?
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