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「あの娘は美人だからのう……去年はリバティ君に人が殺到して大変じゃったんじゃ」
城の人間は百人は越える。その半分は花を持ってリバティに詰め寄る。
ガルは身震いした。
「まぁ今年は分からんがの……」
何やら意味深げにそういう国王はリラに目を移した。
「今年はリラ君もおるしの」
やはりリラは何の事かわからず首をかしげているが、ガルは理解した。
「おっと、もう戻らねば爺がうるさいわい。頑張るんじゃぞ、ガル君」
国王は背を向けて笑った。
二人はお気をつけて、と言ってその場に残っていた。
リラは自分の用を思い出し、すぐに資料をまとめだした。
本棚の隙間を行ったり来たりするリラを見ながらガルは明日のブランデーのことで頭がいっぱいだった。
ガルは考えていなかった。
城に仕えて一ヶ月の自分達が隊長になったことに不満を抱いている人だっていることを。
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